2つの「エンゲージメント」
掲載日:2025/11/21
企業経営において重要な指標「エンゲージメント(Engagement)」には、異なる2つの概念があります。しかし、「話し手」や「聞き手」によってイメージする「エンゲージメント」が異なり、議論が深まらないケースがあります。
本コラムでは、2つの「エンゲージメント」の概念について、簡潔に説明します。
「エンゲージメント」とは
昨今、「エンゲージメント(Engagement)」は企業経営において重要な指標の一つとなっています。
もともと「エンゲージメント」とは、「契約」「約束」「誓約」などを意味する言葉です。
なお、ビジネスの文脈における「エンゲージメント」は、『従業員の会社への帰属意識や貢献意欲などの概念』を指すことが多いようです。
ただし、「エンゲージメント」には「ワーク・エンゲイジメント」と「従業員エンゲージメント」の2つの異なる概念があり、混同される場合があるため注意が必要です。
「ワーク・エンゲイジメント」とは
Schaufeli, Salanova, González-Romá, & Bakker(2002)によれば、
「仕事に関するポジティブで充実した心理状態であり、活力・熱意・没頭によって特徴づけられる。特定の対象や出来事に一時的に向けられるものではなく、仕事に対する持続的かつ全体的な感情と認知である」と定義されています。
「従業員エンゲージメント」とは
Shuck, B., Adelson, J. L., & Reio, T. G., Jr.(2017) によれば、
「組織と仕事に対する感情」と定義され、「従業員が会社に対して抱く愛着を指す言葉であり、会社への帰属意識や理念・ビジョンへの共感、貢献意欲、職務満足などを内包する概念」を意味します。
「エンゲージメント」の類似概念
「エンゲージメント」の類似概念として、「従業員満足度」や「ロイヤリティ」などがあります。
エンゲージメント・サーベイ NEOS-Engagementにおける2つのエンゲージメント指標で、従業員の「活力」と「帰属意識」の醸成をサポート
「組織エンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」
エンゲージメント・サーベイ NEOS-Engagementでは、「エンゲージメント」を『従業員一人ひとりが、所属する組織(職場・会社)における「働く意義」や「帰属意識」を実感しながら、仕事への「活力」と「ストレス」のバランスを良好に保ち、組織への貢献意欲や愛着を持って働いている状態』と定義しています。
なお、「エンゲージメント指標」として以下の2つを設定しています。
・Ⅰ. 組織エンゲージメント※2(「仕事への活力」「ストレス・フリー」にて測定)
・Ⅱ. 従業員エンゲージメント(「職場推奨度」「会社推奨度」にて測定)
※2:「組織エンゲージメント」とは、「 組織(会社・職場など)において、所属する従業員が業務へ対して過度なストレスなく、活力がある状態」です。
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総括データ編
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執筆者紹介
(株)日本経営協会総合研究所 主任研究員 児島 健
修士課程(教育心理学)修了後、人材・教育サービス業を経て、(株)日本経営協会総合研究所に入社。現在は、主に従業員意識調査、コンプライアンス意識調査、エンゲージメント・サーベイを担当。調査から得られる数値情報を基に、各企業の組織改善のための指導・支援を行っている。
国家資格キャリアコンサルタント。