エンゲージメントに影響を与える要因(JD-Rモデル)

掲載日:2025/11/21

エンゲージメントに影響を与える要因(JD-Rモデル)

「仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)」は、「ワーク・エンゲイジメント」と「ストレス反応(状態)」に影響を与える「個人の要因」と「仕事の要因」との関係性を分かりやすくモデル化したものです。
従業員が過度な「仕事の要求度」を認識すると、ストレス反応を引き起こします。一方で「仕事・個人の資源」に恵まれていると認識すると、従業員のパフォーマンス向上や離職率の低下といったポジティブなアウトカムが期待できます。

本コラムでは、JD-Rモデルについて簡潔に解説します。

「仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)」とは

「仕事の要求度-資源モデル(以下、JD-Rモデル)」とは、
「仕事の要求度」「仕事の資源」「個人の資源」によって、従業員の「ワーク・エンゲイジメント」と「ストレス反応(状態)」を説明するモデルです。

JD-Rモデルは、以下の「A.健康障害プロセス」「B.動機づけプロセス」の2つで構成されます。

「A. 健康障害プロセス」とは

「①仕事の要求度(仕事のストレス要因)」が「④ストレス反応」を引き起こし(+)、「⑥健康・組織アウトカム」にネガティブ(-)な影響を与えること。

「B. 動機づけプロセス」とは

「②仕事の資源」および「③個人の資源」が「⑤ワーク・エンゲイジメント」を向上(+)させ、「⑥健康・組織アウトカム」にポジティブ(+)な影響を与えること。

JD-Rモデルの考え方

「仕事の要求度」が強まると、「従業員のストレス反応が強まる(NEOS-Engagementでは、ストレス・フリーが悪化)」と考えられています(健康障害プロセス)。

一方で「仕事の資源」や「個人の資源」は、ストレスの緩衝要因として働くとともに、ワーク・エンゲージメント(NEOS-Engagementでは、仕事への活力)を向上させる働きも期待されています(動機づけプロセス)。

具体例

① 仕事の要求度 ・高いノルマや目標
・過剰な仕事量
・肉体的な負担 など
② 仕事の資源 ・上司や同僚からの支援
・情報の共有
・成長機会 など
③ 個人の資源 ・レジリエンス
・楽観性
・自己効力感
・ジョブクラフティング など
⑥ アウトカム(結果要因) ポジティブな例
・仕事のパフォーマンスの向上
・組織コミットメントの向上 など
ネガティブな例
・過大な心理的負荷
・離職率の増加 など

エンゲージメント・サーベイ NEOS-Engagementとの関わり

エンゲージメント・サーベイ NEOS-Engagementでは、「Ⅰ.組織エンゲージメント(④ストレス・フリー、⑤仕事への活力)」だけでなく、「Ⅱ.従業員エンゲージメント(会社推奨度、職場推奨度)」についても、「①仕事の要求度」「②仕事の資源」「③個人の資源」で説明するモデル化を行っています。なお「④ストレス・フリー」は、逆転項目として集計を行うため、「①仕事の要求度」が強まると、「④ストレス・フリー」が悪化(-)します。一方で、「⑥健康・組織アウトカム」に対しては、ポジティブな影響(+)を与えます。

さらに、「Ⅱ.従業員エンゲージメント(会社推奨度、職場推奨)」に対して、「①仕事の要求度」「②仕事の資源」「③個人の資源」は、すべてポジティブな影響を与えます(+)。

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執筆者紹介

(株)日本経営協会総合研究所 主任研究員 児島 健

修士課程(教育心理学)修了後、人材・教育サービス業を経て、(株)日本経営協会総合研究所に入社。現在は、主に従業員意識調査、コンプライアンス意識調査、エンゲージメント・サーベイを担当。調査から得られる数値情報を基に、各企業の組織改善のための指導・支援を行っている。
国家資格キャリアコンサルタント。

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