第1回 セクシュアルハラスメントの定義と法的枠組み、組織対応の必要性

掲載日:2026/09/17

職場におけるセクシュアルハラスメントは、現代の労働環境における重要かつ深刻な課題として認識されています。
第1回目は、セクシュアルハラスメントの定義と背景、法的枠組み、そして組織対応の必要性について解説します。

セクシュアルハラスメントの定義

男女雇用機会均等法では、セクシュアルハラスメントを下記のように記しています。

  1. 職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクシュアルハラスメント)
  2. 性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること(環境型セクシュアルハラスメント)

セクシュアルハラスメントとは、性的な言動によって他者に不快感や屈辱感を与え、職場環境を悪化させる行為全般を指し、これらの行為は、個人の人格と尊厳を傷つけるだけでなく、職場全体の雰囲気を害し、生産性の低下につながります。

セクシュアルハラスメントの法的枠組みと組織対応の必要性

日本では男女雇用機会均等法が中核となり、各種ガイドラインが企業に対してハラスメント防止の義務を課しています。雇用主は、セクシュアルハラスメントのない職場環境を整備する責任を負っており、これは法的要件であると同時に、企業倫理および社会的責任としても重要です。
ガイドラインでは、企業が講じるべき防止措置として、

事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
併せて講ずべき措置 (プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)
などが具体的に定められており、ハラスメントの防止は、下記のような観点から、組織レベルでの積極的な対応が急務であることは明白です。

① 従業員のウェルビーイング(身体的精神的社会的な健康)の向上
従業員の人生の質を直接的に向上させます。
② 労働環境の質的改善
安全で尊重される職場は、従業員のモチベーション向上、心理的安全性の確保につながります。
③ 組織の生産性と創造性の維持向上
ハラスメントのない環境では従業員がより良い成果を生み出すことができます。
④ 組織の社会的信用と企業イメージの維持
ハラスメント対応の不備は企業評価の低下につながります。
組織が適切かつ継続的に対応することで、より健全で安全、そして生産性の高い職場環境を構築することができます。これらの基本的理解と認識が、組織全体でのハラスメント防止活動の第一歩となり、基盤となります。

執筆者紹介

(株)日本経営協会総合研究所 主席研究員 加藤 理

(株)日本経営協会総合研究所 主席研究員 加藤 理

慶應義塾大学経済学部卒、慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了(産業・組織心理学専攻)後、2002年に(株)日本経営協会総合研究所入社。

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