採用・昇格・人材・組織開発の日本経営協会総合研究所

Vol.1 若手社員の離職を防ぐために

掲載日:2016/11/22

従業員意識調査では職位や所属、性別など、調査の目的に応じて属性の設定を行う。近年、若手層やミドルシニア層など、年代別の意識を把握したいという要望も多い。
今回紹介する分析例(食料品メーカーA社、約1,200名)は、若手社員の離職防止を図るためのヒントを探るものである。

分析方法

従業員意識調査『NEOS』の項目の一つである「転職志向」と相関の高い上位項目を抽出し、年代別に分析を行った。

A社の年代別の転職志向を見ると、20代で18.9%、30代8.9%、40代4.0%、50代3.8%、60代以上1.6%となっており、20代で最も高い結果となっている。相関分析では、年代によって転職志向に繋がる項目が異なっており、20代では「仕事のやりがい、達成感、適性」などの『仕事の魅力』に該当する項目で高い相関が見られることが明らかとなった。入社して年次の浅い若手社員にとって、担当する業務を通じて“やりがい感や達成感”を感じられるかどうかが、定着するかどうかの一つの判断材料となっていることを示しており、特に「達成感」はその他年代では見られない傾向となった。ちなみに、30代では『職場内コミュニケーション』、40代と50代では『経営施策の魅力』に関する項目が『仕事の魅力』以外の項目で上位に挙げられた。
今回取り上げた20代若手社員の主なミッションは、業務を覚え、経験を積むことである。しかし、仮にそのような場面であっても、上司やOJT担当者が彼らに “やりがいや達成感“をいかにして味わわせるかを意識することで、離職防止の一助になると思われる。ただし、ここで難しいのが、やりがいや達成感を感じるポイントは人によって異なっているという点である。

個々の性格や特性に応じた育成を行い、業務を経験させることで、本人の動機づけにもなり、定着志向を高めることにつながるのではないだろうか。

定着志向と「仕事のやりがい」で高い相関

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執筆者紹介

(株)日本経営協会総合研究所 研究員 吉川 和宏

大学卒業後、金融機関勤務を経て、(株)日本経営協会総合研究所入社。現在は、主に従業員意識調査およびコンプライアンス意識調査を担当。調査から得られる数値情報を基に、各企業の組織改善のための指導・支援を行っている。
産業カウンセラー。

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