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第15回 コンプライアンス不適切行動群に見られる不満足要因(2)

掲載日:2018/06/20

コンプライアンス上、不適切な考え方や行動を行う人は、会社・職場のどんなところに不満を感じているのであろうか。彼らの会社・職場に対する不満を把握し、適切に対応できれば、コンプライアンス違反を減らすことができるのではないだろうか。当社蓄積データによる分析結果を2回に分けて紹介する。

調査概要

非製造業 約800名。コンプライアンス意識調査2014年~2015年実施。

分析方法

  1. あなたの行動4項目について、「適切な行動」回答者と「不適切行動」回答者の回答割合を算出する。
  2. 「適切な行動」回答者、「不適切行動」回答者をそれぞれグルーピングし、職場項目の平均値を算出する。
  3. 2の「適切行動群」の平均値と「不適切行動群」の平均値の差を算出し、平均値の差の大きい上位10項目を抽出する。
あなたの行動4項目 (第15回は後半2項目を掲載)
(3)自分の行動が原因のトラブルの責任
(4)他人を評価するときの基準

この分析のポイントは、 「適切な行動をとる人」と「不適切な行動をとる人」とでは、 どのような項目の満足度の差が大きいのか、ということである。言い換えれば、「不適切な行動をとる人」は、「適切な行動をとる人」に比べ、 どんなところに不満を抱いているのか、が分かれば、 不適切な行動をしないように、不満をためがちな項目を把握し対応できれば、コンプライアンス違反を減らせると推測できる。

調査結果

(3)自分の行動が原因のトラブルの責任
Q.あなたは、自分の行動が原因で問題やトラブルが発生した場合の責任についてどう考えますか。

結果

自分の行動の責任は、上司や他人にもあると回答した「他責行動群」は、6.4%(①)。
他責行動群は、自責行動群に比べ、『上司のマネジメント行動』への不満が強く、「仕事のやりがい」が低かった(黄色網掛け)。さらに、「公平な処分」「責任体制の明確化」などコンプライアンス体制の認知度・納得感も低かった(緑色網掛け)。

(4)他人を評価するときの基準
Q.あなたが他人を評価するときの基準は何ですか。

結果

他人を評価する基準が、自分と波長が合うかどうかを基準とする「人柄基準派」は、4.1%(②)であった。
人柄基準派は、仕事基準派に比べ、企業理念の認知度が低いだけでなく(緑色網掛け)、「仲間同士の情報伝達」「知識・技能を向上する雰囲気」「上司の倫理的行動」の満足度が低かった(黄色網掛け)。

考察

上記2項目は、何を基準に判断するかを問うたものである。「他責行動群」は6.4%、「人柄基準派」は4.1%を占める。
上司や他人にも責任があると回答した「他責行動群」は、上司への不満が強く、自分と波長が合うかどうかを基準とする「人柄基準派」は、職場への不満が強い傾向が見られた。

まとめ

  1. 自分の行動が原因のトラブルの責任を上司や他人に責任を転嫁せず、各自が当事者意識をもって取り組むためには、上司の「他部署」「さらに上の上司」との調整力を高め、上司との信頼関係を構築する。
  2. 人を評価する基準は「仕事ぶり」である。上司・職場のメンバーを好き嫌いで判断せず、「仕事に必要な情報伝達を行う」「職場のスキルアップ意欲を高める」など、職場の活力と信頼関係を高める。

次回は、「コンプライアンスのやらされ感」を紹介する予定です。

第15回のまとめ

  • 上司や他人にも責任があると回答した「他責行動群」は6.4%を占める。彼らは、上司の「他部署」「さらに上の上司」との調整力不足を訴えている。上司・職場との信頼関係を構築する必要がある。
  • 自分と波長が合うかどうかを基準とする「人柄基準派」は4.1%を占める。人を評価する基準は「仕事ぶり」である。職場の活力と信頼関係を高める必要がある。

執筆者紹介

(株)日本経営協会総合研究所 主席研究員 山根 郁子

(株)日本経営協会総合研究所 主席研究員 山根 郁子

奈良女子大学文学部卒業後、大手サービス業にて支社勤務を経て、経営企画、内部監査を担当。同社退社後、(株)日本経営協会総合研究所に入社。主に従業員意識調査、コンプライアンス意識調査、ダイバーシティ意識調査、パワハラ実態調査を担当。内部監査の経験を生かし、仕組みや制度にとどまらない、健全な組織風土と個人の自律を支援している。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。修士(カウンセリング)。
公認不正検査士(CFE)。経営倫理士(第15期)。産業カウンセラー。

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