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採用現場ニュース2017年09月

今年の採用で苦労したこと

19採用に向けたインターンシップが昨年以上に活発だ。
ここ数年、採用活動においてインターンシップが重要な役割を果たしてきたことから各社は、さまざまなインターンシッププログラムを6月下旬に発表、ホームページや専門サイトで精力的に募集活動を行ってきた。そのほとんどは、現3年生を対象としたもので6月の就職ガイダンスに参加した学生たちは、大学側から企業研究や採用との関係において重要だと強調されたため関心は否応なく高まった。その結果、大手就職情報会社の8月下旬の調査では、学生の半数以上が今年の夏季インターンシップに参加したという(予定を含む)。とりわけ今年は、経団連がインターンシップの日数制約を撤廃したので企業は多彩なインターンシップを数多く企画できたし、学生も期間が短く、採用直結のイメージが希薄だったので参加しやすかった。

こうしたインターンシップの急拡大と、いわゆる1dayインターンシップの解禁こそ18採用の最大の特徴だったが、このほか「指針」のスケジュールの形骸化、求人ブームによる内定辞退激増、理工系採用の採用難など、これまでにない苦労が多くあった。
以下に18採用で苦労した3点をとりあげてみよう。

▼18採用では、多くの企業が「指針」が徹底されず、

3月には動き出し、5月連休前後には内定のピークが来るということを予想していた。そのため各社とも対策を講じていたが、意外だったのは大手の金融やメーカーが採用活動を時期集中型でなく、2月から6月まで順次エントリーを締め切ったり、面接を開始したり、サミダレ内定を出したことだった。これによって早期に内定を出した企業は、5月以降、優秀学生を相当数奪われることになった。大手企業による根こそぎ人材獲得作戦といえよう。その対策は難しく、従来のようなスケジュールが読むことができなかったことでライバル企業は苦労し、被害を被った年だった。

▼企業は、内定の時期を自社だけでなく、

同業他社や併願者の多い企業の採用スケジュールをにらみながら出している。だが、ここ数年、学生が平気で面接をドタキャンする、連絡がつかなくなる、「内定保留」を申し出るなどのケースが増えてきている。圧倒的に売り手市場の様相なのである。そこに前述の大手金融業界による内定者の引きはがしも増えた。先方は、「指針」どおりにやっているのだから非はないとなる。それに内定学生も内定を獲得すればすぐ就活を止めるわけではない。
ある調査では、5月下旬における内定保有者の6割が「まだ就活を続ける」と回答、その期限も6月下旬まで頑張るという学生が3割もいるという。誓約書では安心できないから内定者確保策を講じなくてはならなかった。そこでは、ひたすら説得と誠意を見せるだけだった。採用担当者が苦労を通り越して人間不信に陥る日々だったといえよう。

▼準大手や中堅企業にとって

理工系人材の採用は、年々苦労が続き深刻になっている。

理工系学生は、平成10年から毎年減少しているだけでなく、学生の就職傾向がメーカーでなく金融、商社、サービスといった文系の人気企業に目が向いているからだ。学生たちのモノ離れが顕著なのである。
それに理工系学生の高学歴化も大手メーカーの採用を優位にさせている。この大学院への進学率は、有名大学ほど高く、東工大では9割、千葉大や横浜国立大では7割以上だ。こうなると準大手や中堅メーカーにとって理工系の新卒採用は、学部卒も院卒もますます困難となり苦労することになる。

こうしたなかで準大手や中堅企業の理工系採用は、人気の機電系どころか化学、土木系さえも採用には苦労している。そのため工学系学生の1割強を占める女子学生に目が向けられてきたのである。

しかし、理工系人材の確保は大手メーカーも苦労していることから、最近では、研究開発の協力や創業開発で緊密になるだけでなく、学校推薦制度を復活させ、研究室との関係を強化する企業が増えてきた。
こうなると準大手や中堅メーカーにとってはますます不利だ。大学との関係が薄く、学生や教員の関心を引く先端技術もないからだ。いくら研究室訪問をしても話を聞いてもらえない。それでも人材確保のために学校推薦では質より量ということで、採用対象学科の拡大や選考水準を緩和したのである。

このように理工系人材の採用は、準大手や中堅メーカーにとっては、昨年も苦労し、一段と深刻なものになったのである。

【掲載日:2017/10/04】

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景気によって大きく変動する「採用」の実態を、企業と学校、それぞれの視点でとらえ、一歩先のトレンドをお伝えします。
『採用現場ニュース』は隔月(奇数月)に掲載します。

キャリアコンサルタント 夏目孝吉

早稲田大学法学部卒業、会社勤務を経て現在キャリアコンサルタント。東京経営短期大学講師、日本経営協会総合研究所講師。著書に「採用実務」(日本実業出版)、「日本のFP」(TAC出版)、「キャリアマネジメント」(DFP)ほか。

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