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第48回 売り手市場における就活生の不安や悩み

 ここ数年、新卒採用では、学生優位の売り手市場が続いています。メディアでも頻繁に報道され、就職活動を終えた先輩からも、リアルな情報が入るので、もうすぐ本格的な就職活動に入る19卒生は、その恵まれた環境をよく分かっています。

 だからといって、不安や悩みがないわけではありません。毎年対象者が入れ替わる新卒採用では、“ベテラン就活生”という存在はあり得ません。ほぼ全員が、生まれて初めての就職活動を経験することになります。環境がどれだけ良くても、ストレスフリーというわけにはいきません。

 売り手市場の就活生は、どんな不安や悩みを感じているのでしょうか。学生アンケート(※)のコメントをもとに、まとめてみました。

<インターンシップが活況ゆえの不安>
「ゼミが忙しくて、就活できる時間が限られている。そのなかで、どのインターンシップに、どれだけ参加すべきか。情報が多すぎて、取捨選択に悩む」
→19卒採用では、インターンシップを実施する企業が大幅に増えました。実施時期も、昨夏以降、ほぼ切れ目なく開催されています。どんどん入ってくる情報の多さに、すでに疲弊している学生も見うけられます。

<水面下アプローチによる悩み>
「就活イベントで知り合った人から、数日後「人事から連絡きた?」と訊かれた。その人が呼ばれているのか分からないので、対応に困る」
→インターンシップや就活イベントに参加後、リクルーターや人事から、個別に連絡が入ることがあります。早期選考を案内されるケースも、19卒採用では目立っています。学生同士、何をどこまで話してよいか分からず、対応に苦慮する様子が伺えます。

<スタート時期が選べる不安>
「そろそろ就職活動をはじめるべきか、いま悩んでいる」
「外資やベンチャー企業は、すでに本選考が始まっていて焦る」
「周りから“内定”という声が聞こえはじめた。ものすごく不安」
「周囲の人のスタート時期がバラバラで、自分の就活が遅れているのか、大丈夫なのかが分からない」
→インターンシップと就職活動が地続きになり、スタートラインは一様でなくなりました。指針の影響力の低下で、選考も各社のタイミングで実施されています。スタート時期の幅が広がり、就活スタイルが多様化したことで、新たな不安が発生しています。

<要求レベルが上昇してしまう悩み>
「自分の条件に合った仕事を見つけられるか不安」
「売り手市場なので、親の期待が高まり、応えられる自信がない」
「志望企業から内定をもらえるか不安。もらえなかったとき、どこまで妥協すればよいのか悩む」
→売り手市場のため、自分だけでなく、周囲の要求レベルも上がっているようです。求めはじめれば際限はなく、上がれば上がるほど、不安は強まります。ちなみに、学生知名度が高い大手企業では、人気の集中による厳選化が起きています。要求を満たすのは、容易ではありません。

<就活あるある!な不安>
「会社が多すぎて、どうやって選べばいいのか分からない」
「業界本を見ても、業界が多すぎてしんどい」
「志望動機が書けなさすぎて不安。求める人物像が、どれも同じ感じがして、似たような内容になってしまう」
→新卒採用をおこなう企業は増えています。業界本も10年前と比べると、ページ数は約1.5倍で、業界のくくり自体も複雑化しています。1社で複数の業界にまたがることも多く、仕事経験のない学生が、一人で理解することは困難です。社会人メンターの必要性を感じます。

<時代を超えた普遍的な不安>
「果たして自分は何をやりたいのか、企業選びの軸は見つけられるのか。考えてもよく分からず、もやもやと不安」
→今も昔も、大学生というのは、モラトリアムかつ、アイデンティティ確立の時期なのでしょう。内省を深めることも、成熟のプロセスには必要です。ただ、ハイスピードで進んでいく今年の就活では、その時間がなかなか取れません。内定後に悩む学生が、多くなりそうです。

 今の世の中、ネットを通じて、事前に得られる情報は膨大です。しかし、学生の経験値は小さく、得た情報を思うようには生かせません。そのギャップが、不安や悩みを大きくしているのでしょう。

 社会人を長くやっている大人からすれば、「そんなことが不安なの?」と感じるかもしれません。最初は誰でも初心者です。少しずつ経験値を上げて、一人前の就活生(?)、社会人となっていくでしょう。彼らの成長を、温かく見守りたいものです。

※ブンナビ学生アンケート(1月)の自由コメントより抜粋および編集

【掲載日:2018/2/13】

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キャリアコンサルタント 平野恵子

国立大学の教育学部卒業後、会社勤務を経て、現在キャリアコンサルタント(CCE,Inc.認定GCDF-Japan)。大学生や社会人などの若年層を中心としたキャリア支援を専門に活動している。また、人材会社の研究員として、就職活動に関する動向や意識調査をもとに、雑誌や専門誌への執筆も行う。

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