2017年から2019年にコンプライアンス意識調査を導入した36社110,440名の集計結果を会社単位で分析したところ、以下の4点が示されました。

コンセプト
パワハラは行為者と被行為者間だけの問題か

01.パワハラが「発生した」回答者率は、最小値10.6%~最大値26.3%
02.パワハラが「発生した」回答者率と従業員数との相関は見られない
03.パワハラが「発生した」回答者率は、業種別(製造業/非製造業)で差が見られない

04.パワハラが「発生した」回答者率が高い会社ほど、コンプライアンス風土、モラールの得点が低い傾向が示された
- パワハラが多い会社とそうでない会社が存在しますが、その差は従業員数や業種とは相関がなく、組織風土やモラールが関係していると推定されます。
- 現在のパワハラ防止策は、「行為者と被行為者間の和解」や「チェックリストやアンガーマネジメントを用いた個人の行動変容」など、個人へのアプローチが主流ですが、今後は組織へのアプローチも必要と思われます。
労働施策総合推進法の改正
- 職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防ぐため、企業に防止策を義務づける労働施策総合推進法の改正案が、2019年5月29日に可決、成立しました。施行は、大企業が2020年6月、中小企業が2022年4月です。
- 改正法は、パワハラを「優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること」と定義しました。そのうえで、パワハラ防止策をとることを企業に義務づけています。従わない企業には、厚生労働省が改善を求めています。それにも応じなければ、厚生労働省が企業名を公表する場合もあります。
パワーハラスメントの法律上の要件
パワーハラスメントに該当するのはパワーハラスメントの6つの行為類型のうち、以下3つの要件をすべて満たすものです。
- 職場において、優越的な関係を背景とした言動であって
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
- 就業環境を害する
パワーハラスメントの6つの行為類型
定義 | 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為 | ||
分類 | 1.暴行・傷害 | 身体的な攻撃 | 業務の遂行に関係するものであったとしても、「業務の適正な範囲」に含むことはできない |
2.脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言 | 精神的な攻撃 | 原則として「業務の適正な範囲」を超えるものと考えられる | |
3.隔離・仲間外し・無視 | 人間関係からの切り離し | ||
4.業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害 | 過大な要求 | 業務上の適正な指導との線引きが難しいケースがある | |
5.業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと | 過小な要求 | ||
6.私的なことに過度に立ち入ること | 個の侵害 |
厚生労働省ポータルサイト「あかるい職場応援団」
※本調査におけるパワハラの定義と分類は、厚生労働省(2012)の定義を採用
基本的なパワハラ対策として取り組むべき7つの取り組み
対策 | 取り組み |
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1.トップメッセージの発信
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全社的な重要課題であることをトップ自ら発信する |
2.ルールを決める
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就業規則、労使協定などにパワハラ防止を明文化し、懲戒規定も定めて正しく運用する |
3.現状を把握する
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アンケート調査などで職場のパワハラの有無や職場風土を把握する |
4.教育する
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管理職層、一般社員層など階層別にパワハラの基礎知識や対処法の研修を実施する |
5.周知する
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社内規定の存在や相談窓口の存在を従業員に周知する |
6.相談や解決の場を設置する
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相談窓口の設置やパワハラ防止委員会を立ち上げる |
7.再発防止のための取り組み
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上記のような施策を継続的、定期的、計画的に実施する |
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