採用現場ニュース2006(2006年の記事)

【2006年2月】 「これからは、大学対策が重要に」

今年は、1月下旬から2月末まで大学内における企業説明会がブレークしている。

どこの大学でも、1コマ90分の会社説明会が教室のいたるところで開催されている。都内の大手私立大学では、大ホールからセミナールームまで教室フル稼働で、朝9時から夕方6時まで説明会のスケジュールを組んでいる。参加する企業の顔ぶれも、メガバンクから総合商社、巨大メーカーさらには地銀、専門商社と多種多彩、連続10日間延べ150社以上が参加している。この傾向は他の私大も同様で、ある大学では、250社を東京国際フォーラムに招聘して説明会を開く。50社前後の企業説明会開催は、もはや中堅私大なら当たり前となっている。昨年からは、国公立大学も学内説明会への取り組みを始めた。

それにしても、今年のように全国各地で、大学主催の説明会に大手企業が多数参加するようになったことについて、採用担当者の方々は、次の点について注目してほしい。

1. 実質的な「早期選別」の場

まず第一が、「早期選別」ということである。学内説明会の開催は、4月1日以前の採用活動自粛を定めた倫理憲章のもとで、早期においても開催が許されるタダのPR活動である。早い時期から企業と学生が接触を持つことは、たとえセミナー形式であれ企業イメージの形成には効果的である。

大手の金融機関の場合はこうだ。学内説明会に参加した学生には、さらに詳しく仕事を理解してもらうために先輩社員を紹介する。そこからはエントリーシートが提出され、リクルーターと学生との関係になる。だから、企業側もこの大学については不特定多数の学生に電話をかけることはしない。学生も見知った先輩社員ということで安心して相談できる。これが、具体的に密度の濃いリクルーター面接となるのは2月下旬からだが、採用活動のチャネルとして効果は大である。

2. 説明会という名の学内選考

もう一つが、学内説明会参加者に対するステップアップである。

参加者は、一般の会社説明会への参加やWebテストが免除される。この特典は、学生にとっては就職への強いインセンティブになっており、企業にとっては多すぎるエントリー、選別基準の不明確さ、早期からの学生対応という課題解決に有効であった。このような選考フローは、有名国立大学だけでなく一般私立大学でも同様である。昨年、MARCHといわれる大学にもリクルーターが登場したといわれたが、こうした下地があったからこそ可能となったといえるだろう。この傾向が、今年は一段と緊密に形成されつつある。とはいえ、採用内定が早まるとはいえない。事前選考が緻密に行われ、1.5倍程度に絞り込むぐらいだからである。4月上旬から本格化する一斉選考に、補欠を確保しておかなくてはならないからだ。だが、学内選考は、倫理憲章遵守と早期選考の相矛盾する2つの要望に応えているといえよう。

3. 一部企業による学生の独占も

しかし、学内説明会を採用に活用できる企業ばかりではない。特に中堅企業にとっては、一部の企業による「学生独占」という問題がある。

これは、大学側に原因がある。就職課のスタッフは、学内説明会の企業を選定するにあたって、どうしても中堅中小企業や新興成長産業を敬遠する。一般に大手の金融や商社、メーカーを優先するのだ。学生の人気や関心という以上に、有名、一流企業にこだわるのである。大学の立場からすれば、親の気持ちを代弁する側として当然だろう。今年は、特にこの傾向が強いようだ。どこの大学でも、説明会に有名企業をずらりとそろえている。採用実績のない企業を招く大学も多い。チャレンジしてほしいという気持ちからなのだろうが、いかがなものだろうか。

4. 大学側へのアプローチが欠かせない

今後、採用担当者にとって必要となるのは、大学との「パイプ強化」である。

前述したような有名企業、実績企業と大学との関係は、ますます緊密になる。それと同時に、これからの新卒採用は、さらに逼迫し、採用活動も年中無休となる。そうなると、大学と企業の関係は今後ますます緊密にならざるを得ない。

大学就職課では、学生からの相談業務が増加している。その多くが内定辞退や進路の問題(進学、資格取得)である。それに加えて早期離職の問題もある。いわゆる第二新卒の問題である。この面でも大学と企業の連携、情報交換が緊密にならざるを得なくなっている。

そのためにも企業としては、自社の情報をできるだけ大学側に理解をしておいてもらう必要がある。学内説明会へのチャンスを獲得することも課題の一つだが、企業の理解をしてもらうこと、また常に人材への意欲を大学側にアピールしておくことも必要である。今後は、就職課だけでなくキャリアセンター、担当教員にアプローチすることも怠ってはならない。業界研究や職種研究でクローズアップされたり、企業人の招聘のチャンスがあるからだ。

今できることとしてはまず、今年の5月、6月あたりの学内セミナーへの参加枠を大学側に依頼しておきたい。

(2006.02.01)

【2006年4月】 何を目指すのか キャリア教育ブーム

かつて『僕って何?』(三田誠広著)という本がベストセラーになったが、大学の学園紛争当時のような自分の機軸を失った学生ではなく、今では「就職するのが怖い」、「社会の壁を前に立ち止まる」という大学生たちが大卒無業、フリーターとなどと呼ばれてキャンパスを彷徨している。そのため社会や企業からは、大学の場で学生の自己理解を促し、職業観の確立や基礎学力の充実をはかる教育に早急に取り組むべきだとの声が高まっている。

高校や大学でのキャリア教育の導入は、この批判に応える動きといえるだろう。この時期大学のキャンパスでは、授業科目のガイダンスや科目登録が始まるが、そのなかでキャリア教育、キャリアデザインという科目が続々と登場している。

これまで多くの大学では、「キャリア教育」を授業科目として単位認定してこなかった。理由は、その多くが就職支援の講習会といった程度の内容で、就職試験対策やマナー講座対策にすぎなかったからだ。科目を担当する講師にしても、外部の専門家が低廉な謝礼でテンポラリー的に実施していたにすぎなかった。

ところが、昨年からキャリア教育のカリキュラムが大学の正規の教育科目として見直され、教員の側からも認知されてきた。なかには、大学のセールスポイントにしようという大学も出てきた。A大学のようにキャリアデザイン学部というのも現れた。しかし、その内容や教員を見るとまだまだ課題はありそうだ。主な課題を3つほど挙げておこう。

1. 教育内容のばらつき景気によって大きく変動する「採用」の実態を、企業と学校、それぞれの視点でとらえ、一歩先のトレンドをお伝えします。

「有為な学生生活を送るために不可欠な、自己を見つめるための視座や、将来を見つけるための方法論といった、学びへのモチベーションを目指す」というのは、B大学である。

これに対して「職業教育」や「自分探し」を目指すC大学では、入学時から勤労観、職業観を育てる教育にはじまり、企業の厳選採用に対応するための就職支援を「キャリア支援」と位置づけて力を入れている。もっと明快なのがD大学。仕事に役立つ実践英語、顧客の満足度を高めるホスピタリティ教育、生きた金融市場など、実践的講義を航空会社や證券会社、旅行会社などの企業実務家が担当している。入学したての1年生からキャリア教育をスタート、3年生まで体系化するところもある。大学によって大きく違うのである。

もちろん、学問として専門領域が成立するのかどうかは議論の分かれるところだ。現在、キャリア論を提唱しているのは経営組織論の学者が多く、一部に心理学者、教育学者などが目に付くが、各領域によって問題意識や手法はまるで違う。

2. 教員が不足している

キャリア教育は、学問として見ると発達心理学や経営組織論、人的資源論、生涯学習論などさまざまな分野から論じられる。よって担当教員もこうした分野の専門家となる。だが、学生個人のキャリアを検証したりアドバイスをするといった部分もあるため、理論だけで論じるわけにはいかない。産業事情や雇用問題の知識や情報も必要だ。そうなると、経験豊かな企業人に期待するところが大きくなる。

ところが、グループワークや各種診断を駆使するとなると、今度は人事コンサルタントの領域となる。こうした広範にわたるスキルと知識に習熟した経験者となると、教員に適する人材の数は少ない。その上、大学の教員の給与が低廉ときては、なかなか良い人材が見つからないのである。ここにキャリア教育の問題がある。

3. 成果が不明 就職指導との関係が不明

成果が不明確であることは、もっとも大きな課題である。すでにキャリア教育を実践してきた大学でも、これといった効果が出ていない。この場合の効果とは何か。有名企業への就職、難関資格への合格者増加、学生ベンチャーの輩出、就職内定率の向上など、さまざまな評価ができる。

学生が勉強に対して熱心になったことも、キャリア教育の成果なのかどうか。まじめさが最近の学生の特性だけに、至急解明するべきだろう。一方で、大手の私立大学では依然として、キャリア教育はリベラルアーツで十分だ、という意見も有力だ。

今後、キャリア教育は、増加傾向が続くものの多くの課題を抱えながら進むことになりそうだ。

(2006.04.03)

【2006年6月】 売り手市場で内定者対策が課題に

採用ブームということで話題を集めた来春大学卒業予定者に対する企業の採用活動は、6月にほぼピークを越えた。といっても、これは大手企業のみである。中堅企業や中小企業、大量採用企業は、採用計画人数にまだまだ達していないので、ホテルやイベント会場で就職フェアを活発に開催している。採用活動真っ盛りなのである。

1. 就活をやめない内定者たち

大学の就職部では、現在の内定率は8割で、かつてない好成績だと自負している。しかし問題は、こうした就職フェア会場に意外なほど学生が集まっていることである。では、彼らは就職内定をしていないのか? 答えはノーである。ほぼ全員が、内定会社を数社持っているのである。
以下に、5月下旬に就活をしている学生に聞いた就職情報研究所の調査がある。

第一志望に内定したので、就活をやめる(25%)
第一志望ではないが内定したので、もう就活はやめる(3%)
第一志望に挑戦する予定(21%)
第一志望に内定したが、もっと上を目指す(8%)
これからが本番なのでさらに就活をする(10%)
内定していないので就活を続ける(34%)

つまり、就活をやめた学生は3割にすぎない。7割の学生がまだ就活をしているのである。なかでも「第一志望に内定したが、もっと上を目指す」という学生が1割もいる。さらに驚くべきことに、これから「第一志望に挑戦する予定」という学生が2割いる。
 
これらの学生は、現在の内定先には就職する気がないのである。求人ブームで自信がついたのか、自己理解できていないのか、さらに上の企業に挑戦しようというのだ。そういった学生が就活を続けて新たに内定すると、「内定辞退」が起こるのである。これが、今年の採用戦線の特徴である。

2. 内定通知だけでは安心できない・・・ 企業の内定者対策「内定承諾書」

その実情を、企業の採用担当者はこう嘆く。「学生側にゆとりさえ感じられ、企業は、どうも選ばれているような気がした」「学生の本音が見抜けず、いかにして抜け落ちを防ぐか、内定者へのフォローを緻密にやることになった」「内定を出してから本気になって就職してもらえるように説得することが仕事になった」。なかには、「銀行がいつまでも学生を大量に抱え込んで、採用活動を遅くしたので、こういう結果になった」と怒る企業も出てきた。

この実情に危機感を持った企業は、今年になってから「内定承諾書」を学生に求めるようになった。これまで企業は、学生に対して口頭かメールで内定通知をして安心していたが、いまやそうした曖昧な形では、企業が安心できなくなったのだ。本来は、10月1日と決められている内定日に企業が学生に求めていた誓約書を、なんと5月の段階で早々に「内定承諾書」として学生に対し求めるようになったのである。推定では、3割程度の企業が内定承諾書を要求しているようだ。この承諾書の提出期限は、内定通知後2週間以内、5月末まで、ということだった。

学生による「厳選就職」が広がったことから、採用担当者は、内定後も手が抜けなくなった。売り手市場においては、採用担当者の心配の種は尽きない。

(2006.06.19)

【2006年8月】 見直される内定者対策と新入社員教育

今年度の採用戦線は終息を迎えたが、採用担当者にとっては、新たな課題が持ち上がっている。内定者対策と来年の新入社員教育をどうするかという課題である。

1. 内定者対策の変容

まず内定者対策だが、ここ数年で様変わりしてきた。いわゆる実務教育を内容とする入社前教育は後退し、企業と内定者のコミュニケーションに力を入れるようになったのである。この背景には、2つの理由がある。

その一つは、内定時期の早期化である。今年の場合、内定時期のピークは内定者が4年生になったばかりの4月下旬。そうなれば、内定期間は約1年になる。この間、内定者を放置していて良いのだろうか。最近の学生はブログ型といわれるだけあって、情報交換には活発だ。それに加えさまざまな企業、先輩、友人、親からの情報やささやきが耳に入る。不安、不信、誘惑に負けてしまうのである。そこで、企業と内定者という関係をどのように運営するのかが大きな課題になったのである。

もう一つは、就職する学生の職業観のあいまいさや、志望動機の薄弱さである。数年前からブームになっている大学のキャリア教育の成果がさっぱり出てきていない。依然として、未成熟のままの若者が多いのだ。

2. きめ細かく継続的なフォローが重要

こうした現状から、企業は教育以前の「自律」を目的に、内定直後からネットによる内定者コミュニティをつくり、就職することへの励ましやキャリアサポートを長期間にわたって実施するようになった。そのプログラムは、企業の最新情報の発信、イベント参加案内、定期的な懇親会、アルバイト紹介、e-ラーニング講座の導入などである。どれもあまり新味はないが、きめ細かく継続的に行うことで、企業として若者を歓迎していることをアピールしている。

例えば大手ネット広告代理店サイバーエージェントは、内定者に対しできるだけ多くの社員、役員との交流会を設けるようにしている。内定者同士の懇親会、社員と共同で行うグループワーク、各種イベントの頻繁な実施がそれである。しかも、これらの懇親会には、同社の社長が毎晩顔を出し、学生と語り合っているという。この姿勢が素晴らしい。若者は、ここに共感、定着するのである。

また内定した後でも仕事内容をさらに具体的に知ってもらうために、工場見学や若手社員との懇親会を頻繁に繰り返すという企業もある。同様に、企業と内定者がより緊密になるために、若手社員と内定者の合宿研修をする企業も徐々に増えている。しかし、内定者対策に斬新な方法はない。内定者対策とは、内定者に対して、就活を通して輝いていた内定時点のモチベーションをいかにして持続させるか、さらに入社後、その意欲を期待どおりに発揮させることができるかということにあるのだ。

3. 新入社員教育も時代を反映

では、新入社員教育の課題はどうなっているのだろうか。

内定者や新入社員の関心は、実務教育でなくキャリア教育とモチベーション教育にある。若者の多くが、自分の能力や将来の自立を重視して就職をするだけに、入社したらどのような目標を持ち、どんなキャリア形成が可能かという、キャリアにフォーカスした教育プログラムが望まれている。先進的な企業は、これらを新入社員教育の核にしようとしている。ある大手食品会社は、これを「ファーストキャリア・プログラム」として内定時点から3年間実施している。

またモチベーション教育も急増している。自分から環境を理解し、やるべきことは何かをグループワークをしながら体感する。自律的に行動することで、自己変革を促す教育である。この教育をさらに効果的にするために、若手社員をメンターとして配置する企業も見られるようになった。このように新入社員教育は、環境変化と若者の職業観、ライフスタイルの変化とともに発展してきている。

だが、こうした綿密なフォローをしても、内定者の辞退は止まらない。そのために最近は、採用担当者が、内定期間だけでなく入社後1年間にわたってフォローをするという企業が増えてきた。かつては、4月1日になれば新入社員は教育担当者の手に委ねられるので人事担当者も一段落であったが、そうはいかなくなってきた。

(2006.08.28)

【2006年10月】 採用活動は、母集団の形成からはじまる

今年の採用活動は、9月末で終息した。大学のキャンパスでは、すでに来年度の業界・企業セミナーが開催され、連日、大盛況である。来年度の採用活動は、スタートしたのである。

そこで来年の採用のために、いまの時期、企業は何をするべきだろうか。
当面の大きな課題は、いわゆる母集団の形成である。選挙で言えば基礎票づくりである。自社に関心のある学生をできるかぎり開拓、その関心を選考時期まで持続させることである。この母集団形成の時期は、11月から1月までの3か月間になる。これは、人気企業や大企業でも同様だ。準大手や中堅企業の場合、応募者がなかったということのないように今のうちから基礎票がためをしておくことが大事だ。そのためには、何をするべきだろうか。採用PR活動(就職ポータルへの参加、ホームページ開設、メール・DMなど)で企業を学生に知ってもらうことは当然として、そのほかに、次の3つを試みてほしい。

1. 内定者活用

内定者は、この時期まだ大学4年生である。彼らに在籍大学での就職アドバイザー役となってもらい、先輩としての就活体験談の報告、就活報告書への寄稿などをするように働きかけることだ。当然、アルバイトなので内定者に諸礼を払わなくてはならない。在学生からすれば先輩への親近感と安心感から内定会社に関心を持つこともあろうし、相談することもある。けっして悪いイメージは持たないはずだ。どんな採用PRより有効である。それに、内定した学生にとっても内定した会社を後輩に語ることは、自分の職業観の確認と自信につながる。これが、企業にとっては内定者対策にもなるだろうし、入社時期までのモチベーションの持続にもなる。

2. 人気企業ランキング対策

中堅企業の場合、人気企業ランキング対策なんて関係ないと思っているだろうが、このテーマに取り組むことで早期からの採用PRのありかた、セミナーの効果的な開催、対象大学の絞込みなど、具体的な活動を、常に効果を確認しながら進めることができる。業界内でどの位置にいるのか、ライバル企業との違いはどこか、お得意大学はどこか、など企業の魅力を知ってもらうアクションプランが生まれてくるのである。具体的には、ホームページの作り方、学生へのフォローのためのメルマガ発行、自社に投票させるために特定大学への重点的なPR活動である。これらの活動で、少しでも人気ランキングが上がれば、学生に知らせ、同時に親にもアピールすることがポイントだ。

3. 接触者情報を活用する

学生に自社を知ってもらい、関心をもってもらい、応募してもらうためには、採用PR活動、セミナー開催、イベント参加、リクルーター派遣などの方法があるが、これらのどこの場面においても、参加した学生情報は大事にしてほしい。とくにホームページをのぞきにきた学生、セミナーに参加しただけの学生、エントリーシートを出したが落ちた学生、友人と一緒に偶然訪問した学生などを放置する手はない。母集団と位置づけて情報を整理、時期に応じて再訪を呼びかけることがポイントだ。ある住宅関係の大手企業の場合、1回でもホームページを訪れた学生(面接者の約8倍)には、その後半年間、数回にわたって応募のアプローチをして相当の採用数をしたという。

4. 大学対策も念入りに

母集団形成ということでいえば、実績大学については、学内セミナーになんとしてでも参加することが重要だ。いまから年内のセミナー参加は無理だろうが、来年の春に開催されるセミナーもあるので、その時期に照準をあてて行動するべきだろう。そのためには、大学に日参するぐらいの意気込みが必要だ。大々的なセミナーのために教室を要求するのでなく、合同でもブース形式でも、とにかく参加することだ。学生は、エントリーはしなくても社名は記憶するはずだ。それにこの時期では、そのまま選考にもなる。この正攻法と同時に、リクルーター派遣も検討してよい。時期的には、12月からがよい。学校周辺でのミニセミナーへの勧誘活動で着実に知名度を上げ、関心層を掘り起こすことだ。

採用活動は、母集団の形成が鍵だ。人気企業も人気に溺れずに採用PR、セミナー、学校対策、人気企業ランキング対策、リクルーター派遣を毎年行って、母集団を常にリセットしている。だから人気が持続し、採用力が強いのである。来年の採用戦線で勝つためには、母集団形成の課題にどのように取り組むのか、採用PRだけでなく、どんな活動が有効なのか、企業の歴史、規模、社風、地域性など採用担当者の手に余る問題もあるが、それらを超えて、いかに母集団を形成・確保するか、例年の課題が今年も採用担当者に迫っている。

(2006.10.31)

キャリアコンサルタント 夏目孝吉
キャリアコンサルタント 夏目孝吉

早稲田大学法学部卒業、会社勤務を経て現在キャリアコンサルタント。東京経営短期大学講師、日本経営協会総合研究所講師。著書に「採用実務」(日本実業出版)、「日本のFP」(TAC出版)、「キャリアマネジメント」(DFP)ほか。