採用現場ニュース2018年11月

インターンシップ大盛況

■指針廃止という経団連の方針が発表されたが、当面は、「3月会社説明会、6月選考開始」という従来の指針が継続される見通しとなった。その結果、これからの採用活動は昨年同様に推移するとみられている。しかし、20卒の採用活動はすでにスタートしており、その前哨戦である夏・秋インターンシップは終わり、冬・春インターンシップ募集の時期に入っている。企業の新卒採用にとってインターンシップの役割は大きく、年々重視されているのは周知のとおり。そこで今回は、今年のインターンシップがどのように実施されたのか、新しい変化と今後の展開を見てみよう。

▼大手就職情報会社の学生モニター調査によれば、今年の6月から8月末までのいわゆる夏インターンシップに参加した大学3年生は、すでに74.6%に達している。同調査によれば、過去3年間、インターンシップは、漸増してきたが、今年は、3.5ポイントも増えた。これは、就職サイトに登録している学生の回答だから一般学生よりは積極的だが、この高い参加率は、学生の就職意識が年々、早期化していることを示している。そして、企業にとって夏のインターンシップは、採用活動の出発点となるだけに採用活動に熱心に取り組む企業ほど開催件数を増加させている。

▼昨年度の企業インターンシップ実施状況について大手就職情報会社の採用総括(18年7月調査)をみると、16年卒63.2%、17年卒79.7%、18年卒81.3%と増え続け、19年卒では95.9%と驚異的な実施率に達している。企業にとってインターンシップは、不可欠の採用活動となり、学生にとっては、誰もが参加する就活となって定着しているのである。これほどに企業がインターンシップを重視し、早期から増加させてきた背景は明確だ。求人難の深刻化とともに採用広報の強化、採用活動の早期化、ミスマッチ防止が重要になってきたからだ。

▼インターンシップについては、実施日数の変化にも注目したい。先の採用総括によれば、18卒から19卒にかけての変化が興味深い。一昨年は、インターンシップ期間が「1週間」と回答した企業が64.2%あったが、昨年は、46.5%に大幅減、逆に「2~3日」は26.4%から46.5%へと大幅増、「半日~1日」が34.9%から62.0%と激増した。いわゆる1dayインターンシップが急増していることが明白だ。これには、経団連による1dayインターンシップの容認が大きく影響している。今年もその傾向は変わらず、参加した学生への調査によれば、夏のインターンシップに参加した学生の59.7%が1dayインターンシップだった。では、1dayインターンシップの内容とはどのようなものだったか。例えば今年の7月上旬から9月下旬まで実施した大手保険会社の場合、毎週、全国6会場でそれぞれ50人から100人の学生を集めて「業界+会社説明会」の講演会とグループワークを各1日で行った。参加学生数は、延べで1000人に及んでいる。参加した学生の感想はこうだった。「ふだん見られない金融機関の内部の見学をしたり社員と話ができたりしてよかった」「採用に関係なく気軽に会社を知るということではよかった」「実質、会社説明会で内容のあるインターンシップではなかった」「広く浅くしか会社を理解できないので時間の無駄だった」など。だが、同社の1dayインターンシップの目的は明確だ。会社説明会なのである。このような1dayインターンシップは、ここ数年、保険、銀行、証券など金融機関が早期から多数、大胆に実施するようになったのが最近の傾向だ。

▼企業がインターンシップで何を目的にしているかは、開催日数と応募書類、実施予定時期である程度わかる。1dayインターンシップなら会社説明会であり、5日間以上なら就業体験の提供か人物観察であり、1週間以上なら選考に関係があるジョブ採用かもしれない。そしてインターンシップの募集にあたって抽選あるいはエントリーシートのみという企業は、説明会型であり、WEBテスト、面接、適性検査を念入りに課すのは採用に関連あるインターンシップといってよい。だからインターンシップが選考に影響すると学生が思っているような不安(期待?)は、多くは見当外れだ。先の総括調査でも採用直結インターンシップは、企業の1割にも満たないと報告している。企業の多くは、選考段階の一部免除にとどまっている。企業にとってインターンシップは、採用広報活動であり採用候補者の掘り起こし、応募の動機付けというのが最近の基本スタンスだからだ。

▼インターンシップの変化として見逃せないのが実施予定時期である。先の総括調査によれば、今年の8月、9月に予定していたインターンシップは、それぞれ66.7%、68.2%と昨年並みだったが、10月は30.3%(昨年は、15.0%)11月は48.5%(21.5%)、12月には51.5%(31.8%)、そして来年の1月は47.0%(26.2%)とそれぞれ倍増の実施計画なのである。企業は、採用広報を昨年以上に早期化し、年末からは、5日間以上のインターンシップで学生の資質を観察しながら自社に囲い込み、2月から本格化する採用イベント(参加者限定インターンシップ、若手社員との意見交換会、早期特別選考会、海外支社見学ツアーなど)に誘導したり、リクルーターを配置したりするようだ。そのため来年2月のインターンシップ予定数は、82.2%から74.2%へと減少することになった。つまり採用活動を前倒しするということなのだろう。

▼このように今年も企業の採用活動は、インターンシップを軸に始まった。とくに金融機関、総合商社、大手メーカーの人気企業は、インターンシップを有力な採用広報活動ととらえて早期から多彩で魅力的なプログラムに取り組んでいる。だが、その多くは、採用直結型ではない。採用広報活動に過ぎないが、その囲い込む効果は大きい。しかし、勝負は、これからだ。インターンシップで見出した優秀学生をどのように第一志望者として取り込むか、年末から2月にかけての課題である。

※ブンナビ新卒採用戦線 総括2019レポート、20卒ブンナビ学生アンケート調査概要(2018年8月)より引用

キャリアコンサルタント 夏目孝吉
キャリアコンサルタント 夏目孝吉

早稲田大学法学部卒業、会社勤務を経て現在キャリアコンサルタント。東京経営短期大学講師、日本経営協会総合研究所講師。著書に「採用実務」(日本実業出版)、「日本のFP」(TAC出版)、「キャリアマネジメント」(DFP)ほか。