第62回 対面で映える学生、WEBで光る学生

 コロナ禍によってWEB面接は、誰もが知る選考手段の1つとなりました。数年前からHRテックの一分野として、注目は集めていましたが、実際の導入企業は限定的でした。それが、この数ヶ月で格段の広がりをみせました。ある学生アンケート調査(※)では、4月中に受けた面接の約8~9割がWEB面接となっています。学生にとっても、ごく普通の選考方法となりつつあるようです。

 経験者が増えたことで、多くの学生からさまざまな意見があがるようになりました。ある学生は「コロナのおかげと言ったら不謹慎だけど、自宅ですべての就活が完結するから気に入っている」とコメントしていました。「WEB面接にも慣れてきたので、WEBでも対面でも問題なく対応できている」といった意見もあります。一方で、「自分の熱意が伝わっているか不安」「画面越しの会話だと自分自身のモチベーションが上がらない」「パソコンに不慣れなので対面の方が安心」などと感じている学生も少なくありません。

 オンライン講座や面接練習などで、学生とWEBコミュニケーションをしていて感じるのですが、対面コミュニケーションがしっかりとできている学生は、おおむねオンラインでも問題はありません。例えば、口角を上げ、目線を下げずに、適切に相づち(うなずき)などのリアクションができる。伝えたいことがハッキリしていて、適切な言葉とスピードで、分かりやすく話をすすめることができる。こうした対応ができていれば、対面でもWEBでも、円滑なコミュニケーションが可能でしょう。

 とはいえ、学生コメントにあるように、どちらかに適性が偏った学生も存在します。「対面で映える学生」と「WEBで光る学生」の特徴を、個人的経験をもとにまとめてみました。

<対面で映える学生>
 声の大きさ、表情、立ち振る舞いなど、第一印象を左右するノンバーバル(非言語)コミュニケーションにたけていて、相手に親しみやすさ、頼もしさといった感覚情報を与えることができる。ひご(庇護)欲や育成欲を相手に感じさせるタイプの学生も、対面に適している。
 ディスカッション(目的のある会話)よりも雑談(楽しさを重視した会話)が得意で、短時間で人との距離を縮めるアプローチができる。

<WEBで光る学生>
 ノンバーバル(非言語)よりバーバル(言語)による意思伝達にたけていて、比較的ハッキリとしたもの言いをする。
 目的重視のコミュニケーションを好み、グループディスカッションなどでは、要点を押さえた発言はするものの、必要以上には話さない。深掘り質問に強く、自身の思考および思考のプロセスを論理的に話すことができる。意図が明確な質問にはスムーズな会話が成立する。

 WEB面接はまだれい明期なので、学生だけでなく企業も手探りの状況といえます。当初は「やはり面接は対面でないと…」といった企業が多くありましたが、「今まで接触できなかった属性の学生から応募があった」「面接日時の調整が楽になった」など、新たなメリットを感じているようです。心理的なハードルも「やってみたらWEBも意外とよかった」といった感想が多いように感じます。社風や社員の雰囲気と言った感覚情報が伝えきれない…といった課題はあるものの、WEB面接という選考は広く定着していきそうです。

 22年卒採用では、対面とWEBのハイブリッドで選考を考えている企業もありそうです。その場合、1次はWEB、2次以降は対面といったステップ毎に手段を決めるのではなく、例えば、最終面接以外は対面とWEBの好きな方から選択できる、といった方法にすれば、学生の納得感はより高まるでしょう。自分の強みを発揮できますし、「WEBだと伝わらない(から対面がよかった)」「対面だと緊張する(からWEBがよかった)」といった不満も解消するはずです。

 もしハイブリッドで選考を実施するのなら、「半構造化面接」をおすすめします。あらかじめ決められた質問で面接をおこない、話の流れによって面接官が自由に質問を投げかけ、対話を深めていく面接方法です。手段の違い(対面かWEBか)で評価に大きなズレが生じないように、質問内容と評価項目を固定することがポイントです。手段によるズレだけでなく、属人的な評価ギャップも少なくすることができるでしょう。

 最後に、今後の対面もしくはWEB面接で参考になりそうな学生コメントを紹介しておきます。

■対面面接
・短時間で流れ作業のような面接だった。対面でやる意味が感じられなかった。
・面接官が2人ともマスクをしていて、距離があったため、どちらが質問しているのか分かりにくく、どっちを向いて話をすればいいのか迷った。
・待機する場所、案内、面接方法、あらゆるところにコロナ対策への配慮が感じられて、気持ち良く面接できた。

■WEB面接
・いきなり面接ではなく、最初に人事の方からすすめ方の説明があり、その後に面接官と切り替わって面接がスタートした。
 とてもスムーズだった。
・最初に、通信がきれたときの対応方法と評価に影響がないことを説明してくれて安心できた。
・間を持て余すような微妙な雑談には、こちらが対応に困ってしまった。

 まだ先行き不透明な環境下ですが、より多くの企業と学生にとって、安全かつ納得できる選考がおこなわれることを願っています。

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キャリアコンサルタント 平野恵子
キャリアコンサルタント 平野恵子

国立大学の教育学部卒業後、会社勤務を経て、現在キャリアコンサルタント(CCE,Inc.認定GCDF-Japan)。大学生や社会人などの若年層を中心としたキャリア支援を専門に活動している。また、人材会社の研究員として、就職活動に関する動向や意識調査をもとに、雑誌や専門誌への執筆も行う。