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第32回 日本の学生、アメリカの学生

 大学で英語を教えているアメリカ人の友人(日本語堪能!)がいます。よく一緒にお茶を飲みながら他愛もない話をするのですが、先日は日米の学生比較で話に花が咲きました。

 彼の講座は座学が少なく、英語でグループワークやスピーチをすることが多いため、教え始めた当初は、日本人のシャイぶりに驚いたそうです。「無表情で、反応がほとんどない!ワタシ嫌われているのかと思いました」とパントマイム付きのオーバーリアクションで彼は語ってくれます。ハワイ出身の彼は、パフォーマンスも表情も本当に豊かです。もしかしたら学生は、彼のコミュニケーションスタイルに驚いてフリーズしていただけなのかもしれません…(苦笑)。

 次に苦戦したのは“自分の意見をハッキリと言ってもらうこと”だそうです。「~をどう思いますか?」と質問すると、みんな似たような発言をします。それはきっと自分の意見じゃないです。だからワタシは「あなたはどう思いますか?」を繰り返してばかりいます。そう笑いながら話していました。

 「アメリカの学生は違うの?」。そう私が聞くと、急に真面目な顔になって「アメリカでも、シャイで人見知りな学生は増えていると思う」と肩をすくめます。ヘッドフォンをしたままスマホをいじっている姿を見ると、コミュニケーションを避けたがっているように見える…と、寂しそうに言っていました。

 友人は日米文化比較の専門家ではありませんから、あくまでも個人の感想に過ぎません。ただ、アメリカと日本の学生が似てきたという指摘を聞いて、就職にまつわるいくつかの話題を思い出しました。

■ヘリコプターペアレント

 過干渉気味の保護者を表現する言葉で、アメリカをはじめ、ヨーロッパでも数年前から話題になっています。自分の子どもの頭上を常に旋回して監視しているヘリコプターのようだから“ヘリコプターペアレント”です。日本で言う“モンスターペアレント”と似たような意味で使われます。

 少し前ですが、就職活動時のヘリコプターペアレントを紹介しているコラムがあります。

・「就職の面接に親を連れて来る」新世代、アメリカで話題に
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/13/parent-job-interview_n_3918081.html

 アメリカでは、日本のように初任給が一律ではありません。雇用契約を結ぶときに、他の条件も含めて雇用者と交渉することが一般的です。まだ世慣れていない子どもに任せていては不利な契約を承諾してしまうかも・・・。そう考えて、親が交渉の場に同席することもあるそうです。アメリカ版「オヤカク(親への確認)」といったところでしょうか。

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■大学の就職支援

 アメリカでは卒業してから就職する学生が多いから、大学でキャリア(就職)支援はやらないんじゃないの?と考える方が多いかもしれません。しかし、スタイルは異なるものの、支援プログラムは豊富で、内容はビックリするほど似ています。キャリア支援に熱心な大学の1つ、ニューヨーク大学では学生向けにyoutube専門チャンネルを作って、動画で情報提供を行なっています。

いくつか面白そうな動画をご紹介すると…

・Interviewing Tips/面接対策講座(大学制作)
https://www.youtube.com/watch?v=NPxGoNln9Mo

・Writing an Effective Resume/履歴書の書き方講座(大学制作)
https://www.youtube.com/watch?v=kmGqg-CHpZM

・Dress for Success/リクルートスーツ選び(外部動画の紹介)
https://www.youtube.com/watch?v=n0DFwGy8wUg

・LinkedIn for Students/学生のためのLinkedIn(外部動画の紹介)
https://www.youtube.com/watch?v=YWp6AN00D_c

こちらでは、アメリカ版“学内合同説明会(Career Fair)”の様子を見ることができます。

・Making the Most of a Career Fair(大学制作)
https://www.youtube.com/watch?v=CPBOBEYwu2U

 面接や履歴書の書き方ばかりではなく、リクルートファッション指南やLinkedIn(アメリカ版就職サイト)の使い方など、支援内容の共通性に驚きます。

■ブラックインターンシップ

 日本ではブラック企業やブラックバイトが話題になっていますが、アメリカでは、インターンシップで同様の労働問題が発生しています。

 インターンシップなどを通じて、実践的なキャリアを求められるアメリカでは、長期&無給でも希望の仕事経験を積みたい・・・と考える学生は多くいます。そこにつけこんで、インターン生を「無償労働者」のように酷使するケースが少なからずあるのです。“ブラックインターンシップ”と言えばイメージしやすいでしょうか。

 似たような話は日本にもあります。就職塾を名乗る会社が、学生にトレーニングと称してハードな営業活動を長期間させていたことがありました。最近ある大学で聞いたのですが、介護サービス企業から30日以上のインターンシップ申請があり、その書面には「昼食支給、有資格者には入浴サービス業務あり」と書かれてあったそうです。これでは、「無償労働者」として利用していると思われても仕方がありません。

 新卒採用のスケジュールが変わったことで、インターンシップへの注目度が高まっています。ブラック企業、ブラックバイトに続き、今後ブラックインターンシップが話題になるかもしれません。

 学生が大人(社会人)の仲間入りを果たすプロセスには、国や文化が異なっても似たようなハードルがあるようです。そして、乗り越えるための支援やそこで生じるトラブルも共通するものがあると改めて感じました。

【掲載日:2015/06/18】

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キャリアコンサルタント 平野恵子

国立大学の教育学部卒業後、会社勤務を経て、現在キャリアコンサルタント(CCE,Inc.認定GCDF-Japan)。大学生や社会人などの若年層を中心としたキャリア支援を専門に活動している。また、人材会社の研究員として、就職活動に関する動向や意識調査をもとに、雑誌や専門誌への執筆も行う。

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