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第20回 結果とプロセス、どちらを重視?

「結果とプロセス、どちらを重視しますか?」
そう聞かれたら、皆さんはどう答えますか。当然、個々の価値観や置かれている立場によって回答は違いますから、どちらが正解ということではありません。ただ、新卒採用に限って言えば、
プロセス重視で評価していることが多いのではないでしょうか。

厳密に言えば、「結果を出すために頑張ったプロセス」を評価しているのであり、結果を軽視しているわけではありません。ですが、比重としたら「結果<プロセス」という図式になるでしょう。

ここが人事と学生の大きなズレになります。つまり、学生は「結果>プロセス」だと認識しているのです。

「結果が出なければ、それまでのプロセスは全て無意味だと思っていた」
こんなコメントが学生の口から出るぐらい、彼らは結果を重視しています。そしてそれが、学生生活全体に影響を与えています。

●失敗する(=結果が得られない)可能性の高いことにはチャレンジしたがらない
 ex. 興味のある単位の取りにくい授業より、興味はないが単位の取りやすい授業を好む
   取得困難な資格よりも、確実に資格が取れるものを好む

●やった分の結果が確実に得られるものを好む
 ex. 修了証が発行される講座やプログラムの人気が高い

●自己評価が客観的に分かる指標を欲しがる
 ex. サークルやゼミで、あらゆる役割に名称(役職名)を付ける

彼らのこうした傾向は、生活実態調査にも表れていますし、私自身の肌感覚とも一致します。

確実性が高く、分かりやすい結果を好む。よく考えれば、これは学生ばかりにあてはまることではありません。私たち大人も同じでしょう。というか、順序が逆です。私たち大人が分かりやすい結果ばかりを重視するので、学生も「社会とはそういうものだ」と認識している。そう考えた方が自然です。そして、それを就職活動にもあてはめて考えているのです。

結果が伴わなくても、評価できるプロセスがあれば大丈夫。スゴイこと自慢のような、奇をてらったことを求めているわけではない。就活生に向けた人事からのアドバイスでは、そうした言葉をよく聞きます。しかし、そう言ったところで、インパクトある体験を語る学生に質問が集中しがちな現実もあります。地味なプロセスを、地味にしか語れなかった学生は、どうしても埋もれてしまいがちです。たぶん私たちも学生も、目に見えにくいものの価値や意味をとらえにくくなっているのでしょう。

だから、できるだけインパクトがあって分かりやすい結果を盛り込もうと、学生は自己PRを必死に考え出すのです。

「積極性が10点と出た○○診断テストの結果を書けば評価されますか?」
「役職はないけど、まとめ役をしていたのでリーダーって言っても大丈夫ですか?」
「ゼミの研修旅行で中国に行ったのですが、留学経験ありって書いてイイですか?」

少しずつ「盛り」がハデになってしまう学生もいます。自分の良心を秤にかけて、ギリギリの表現をしているのです。嬉々としてやっているわけではありません。もう少し普段着の自分でありたいと思っている学生がほとんどでしょう。しかし、それでは就職活動を勝ち抜き、内定という結果を得ることができない。だから、仕方なく、分かりやすく作り込まれた自己PRでアイコン化した自分を演じるのです。そして、澱のような疲れを少しずつ蓄積させていくのです。

春の内定出しのピークを過ぎて、いま内定を得ている学生は4割強という感じでしょうか。過半数の大学生は、まだ未内定です。就職活動を続けている学生の中には、就活疲れをため込んでいる学生も少なくありません。自分への自信も失い気味です。

これから選考で学生と会う方にお願いがあります。作り込まれた、ありがちなエピソードでも、少しだけ耳を傾けていただけませんか。そうすれば徐々に肩の力が抜けて、普段の姿が透けて見えるはずです。

「大切なものは目に見えないんだよ」

星の王子様を気取るわけではありませんが、見えにくい学生の良さを、採用活動を通じて見い出してもらえたら、より多くの学生が大人へと成長していけるでしょう。

【掲載日:2013/06/20】

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キャリアコンサルタント 平野恵子

国立大学の教育学部卒業後、会社勤務を経て、現在キャリアコンサルタント(CCE,Inc.認定GCDF-Japan)。大学生や社会人などの若年層を中心としたキャリア支援を専門に活動している。また、人材会社の研究員として、就職活動に関する動向や意識調査をもとに、雑誌や専門誌への執筆も行う。

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