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採用現場ニュース2018年01月

求人難はさらに深刻化、スケジュールは昨年並み

採用バブルの再来といわれた昨年の採用活動も幕を閉じ、すでに10月から19採用がスタートしている。新年にあたり、今年の採用環境がどのようなものか、今後、どのように展開していくのか概観してみよう。

▼まず、19年卒の採用環境である。少子高齢化の進展ばかりでなく若者の職業観の変化や新しい生活サービス産業や情報産業が発展する中で飲食サービスや運輸、建設産業においては人手不足が深刻化し、出店計画の見直しや営業時間の短縮、宅配便の遅れ、業務のロボット化などが社会問題化するなかで人材としての新卒採用は、中堅・中小企業だけでなく大手企業でも年々、困難になっている。

昨年の各種採用総括レポートでは、企業の採用担当者の8割が売り手市場であると認識し、優秀人材の採用は深刻だと回答している。とりわけ多くの若手人材を必要とする飲食サービス、運輸、流通・小売りの業界は採用難を理由に事業計画を見直し、アルバイトの正社員化を導入するところが相次いでいる。

▼こうした環境の中で今年の企業の新卒採用計画はどうだろうか。
すでに昨年末に発表された大手就職情報会社の19年卒採用計画調査では採用増とする企業が15.8%、採用減とする企業が5.1%だった。その増減差は、昨年の7.8%増を上回り10.7%増に拡大した。

日本経済は今後も海外市場の拡大が見込まれ、さらにEV、AI、ロボットなどの新産業の成長などが期待される現状では、新卒採用は、一段と積極的になり増加する見通しだ。
なかでも新卒採用に積極的なのは、多彩な成長を続けるネットビジネス企業や情報コンテンツ企業、金融システム企業、多様なゲーム・エンタメ業界だ。産業界全体をみると大手企業は昨年並みの採用計画であるのに対し、中堅企業の採用意欲が旺盛だ。
一部金融業界、とくにメガバンクのリストラの動きが報じられているが、これも業務の統合化や人手不足対策によるもので、当面は中高年層が対象。しばらく、新卒に影響が出ることはないだろう。 

▼最近の新卒採用の新傾向として注目したいのが採用の枠組みの変化である。
新卒と既卒、総合職と地域職、理工系と事務系といった採用区分が希薄化している。新卒といっても新卒にこだわらず、卒業3年以内としたり、職歴有りの応募者を容認したりすることが普通になった。また勤務地についても総合職と同等の地域総合職を設置して採用の対象者を地方の学生に広げたことも注目される。

理工系と事務系といった採用区分は、これまでメーカーがこだわっていたが、最近になってAIや新規事業に取り組む企業では、文系学生が多く成果を出していることから、総合職あるいは開発職に学部不問で採用している。

これらは、採用難からの対応策ということだけでなく、企業の事業構造の変化や働き方の見直しが背景にあるからであり、新しい時代の人材に求められる資質が変化してきたからと読むべきだろう。

▼では、今年の採用スケジュールは、どのように展開するのだろうか。
一部改訂されたものの、指針は昨年同様の「3月情報解禁、6月選考開始」で継続されたので基本は昨年と同様に推移するだろう。しかし、1dayインターンシップが容認されたことで昨年の夏、秋のインターンシップが激増、昨年末までに学生の75%がインターンシップに参加したという。
ここで注目したいのは、多くの企業が実施したインターンシップは、ほとんどが1dayであり、会社説明会程度の内容だった。そのため、従来のようにインターンシップ応募者を選考し、参加学生の人物観察、評価、内定示唆をすることが少なかった。いわゆる採用直結型ではなかった。そのため19採用の前哨戦としてインターンシップは活発だったものの早期内定続出という混乱はなかったのである。
だが、それだけに企業は、1月下旬からスタートする春のインターンシップや質問会への参加を呼び掛ける対象者を適切に絞り込めたはずだ。これは学生側にも言えることで相応の企業研究を経ているだけに志望動機などが明確になっているはずだ。2月からの企業の採用イベントは、どこも密度の濃いものになるはずだろう。

▼そこで、今年の採用活動の流れだが、2月より1dayインターンシップという名目の企業説明会が活発化し、若手社員との質問会や懇親会、そして3月事前面接がピークとなり、4月上旬、人事面接、4月中旬に内定出し開始、5月中旬内定ピークという流れは、ほぼ昨年並み。製造業の理工系採用や金融機関の準総合職採用は、5月末までだろうが、採用計画未達の企業が続出するので企業のエントリー受付が二次、三次と継続され、企業説明会も昨年以上に各地で開催されるため企業の採用活動は長く、6月末まで続きそうだ。

【掲載日:2018/01/11】

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景気によって大きく変動する「採用」の実態を、企業と学校、それぞれの視点でとらえ、一歩先のトレンドをお伝えします。
『採用現場ニュース』は隔月(奇数月)に掲載します。

キャリアコンサルタント 夏目孝吉

早稲田大学法学部卒業、会社勤務を経て現在キャリアコンサルタント。東京経営短期大学講師、日本経営協会総合研究所講師。著書に「採用実務」(日本実業出版)、「日本のFP」(TAC出版)、「キャリアマネジメント」(DFP)ほか。

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