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採用現場ニュース2017年07月

18採用の経過と結果

求人ブームの中でスタートした18採用は、ほぼ予想通りの展開となり大手企業の採用は、6月中旬において内定出しのピークを越えたが、中堅・中小企業は、採用の目途がつかないまま夏を迎えることになった。今年の採用活動や学生の就活がどのように展開されたか、これまでの経過を振り返ってみよう。

■中堅・中小企業の採用は深刻化

18卒の採用計画は、3月の「日経新聞1300社調査」によって全容が明らかにされた。同調査によれば、18卒の求人数の伸び率は9.7%増(昨年は10.6%増)と1桁増にとどまったものの企業の求人意欲は、かつてなく旺盛だという。景気の拡大や、人口減、高齢化に伴う働く世代の減少などが新卒採用を強く下支えしているからだ。その採用意欲を業界別に見ると電機、自動車、化学といった製造業が8%前後の増加であるのに対して外食29.3%増、通信17.9%増、小売業16.5%増と生活サービス分野の採用意欲が他業界を圧倒していた。これを個別事業別にみると住宅販売、保育、介護、陸運、調剤薬局などの大手各社は軒並み数百人単位の大量採用計画を発表していた。それに比べて銀行は、0.7%増、保険は10.5%減と採用数は、すでに飽和状態となっていた。それだけに就職人気の高い銀行、保険は、学生にとって一段と厳しい就職先となった。

しかし、大量採用を目指す生活サービス分野の各社にとって、今年も採用は苦戦することになった。とくに外食、介護、陸運などの企業は、学生たちの企業研究不足や親の反対、企業競争の激しさが連日報道されることで7月になっても学生の応募が少ない、内定を出してもなかなか受諾しない、という現象が相次ぎ、多くの企業が未だに採用活動を継続している。これらの企業では、「事業を発展させるためには新卒採用が不可欠」というだけに深刻な事態になっている。今後は、各社とも採用広報の強化だけでなく、採用対象の見直し、新たな選考方法の模索、労働条件の大幅な改革、雇用形態の見直しなどが喫緊の課題になっている。

■指針改定でさらに短期集中

今年は、採用選考日が6月1日に前倒しされたことと1dayインターンシップの容認で昨年以上に採用活動が早期化し、短期集中となった。これも企業にとっては、昨年の反省から当然の行動だった。それでも年初からの企業の事前活動は、自粛する姿勢が見られた。そのため経団連加盟企業においては、乱暴な採用活動は見られなかった。むしろインターンシップを存分に活用し、インターンシップ参加者や特定大学の学生に対する特別選考が広く見られ、従来の「意見交換会」「社員への質問会」を発展させた「直前座談会」の開催や「面接予約」という新しい選考のキーワードを生み出した。とくに「面接予約」という選考日直前の面談会(最終面接)は、6月1日の拘束として予想以上の効果を上げたようだ。その結果、今年は、6月上旬において企業の内定率は一気に6割以上という成果になったのである。

■採用の多様化が拡大

採用の多様化が拡大したのも目に付いた。中堅企業だけでなく大手企業でも採用対象者を既卒者、女性、留学生だけでなく、アルバイトからの採用、インターンシップ直結採用を拡大した。さらに今年、顕著だったのが採用活動の複線化。インターンシップ参加者を早期選考したり、エントリー受付の時期の分散化をしたりして通年採用を目指したことだ。この制度によって企業は、様々なチャネルで年間を通じて優秀な学生を採用することになった。

採用の多様化ということでのエポックは、初任給の差別化もあげられよう。すでにITやコンサルテイングなどの業界では、導入されていたが、ようやく一般企業にも初任給の差別化が広がり始めた。優秀人材確保、ポテンシャル重視の採用ということなのだろう。こうした動きは、新卒一括採用の枠組みが崩れ始めた象徴と言って良い。

また採用手法では、早期採用とミスマッチ防止ということで目に付いたのが中堅・中小企業の採用活動におけるダイレクトリクルーテイングである。就職ナビを使わず、魅力的な就職イベントを開催し、参加者をその日そのまま面接、採用していくという手法だ。これは、就職ナビでは、学生に注目してもらえないと分析した中堅企業の採用手法だ。もっともこの手法は、すでに大手企業でも上位大学向けに行っている手法だが、これを中堅・中小企業が導入したということでますます採用スケジュールのスタート、ピークという節目がなくなってしまった。
結局、今年の流れは、求人難の深刻化によって「指針」がさらに形骸化するという結果になったようだ。

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景気によって大きく変動する「採用」の実態を、企業と学校、それぞれの視点でとらえ、一歩先のトレンドをお伝えします。
『採用現場ニュース』は隔月(奇数月)に掲載します。

キャリアコンサルタント 夏目孝吉

早稲田大学法学部卒業、会社勤務を経て現在キャリアコンサルタント。東京経営短期大学講師、日本経営協会総合研究所講師。著書に「採用実務」(日本実業出版)、「日本のFP」(TAC出版)、「キャリアマネジメント」(DFP)ほか。

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