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採用現場ニュース2017年03月

合同説明会から面接へ、学生たちの不安と期待

3月1日から就職情報が解禁され合同説明会が一斉に始まった。全国各地のイベントホール、ホテル、大学などどの会場も学生であふれている。だが、今年の学生の出足は鈍いというのが採用担当者の共通した意見だ。企業や大学が早期から「仕事研究セミナー」やインターンシップを盛大に行ったためとみられる。そのためか学生たちの表情は、早くも疲れをみせながらも深刻さはない。就職環境が良く求人ブームが続くと見ているからだろう。こうした学生たちの就活の考えや行動を聞くために3月上旬、都内で開催された大規模な合同説明会に出かけてみた。

▼まず、今年の就職戦線の予想を会場にいた学生に聞いてみた。

「売り手市場と言われている分、良い就職環境なので何とか就職できる気がする」(早大)
「アベノミクスによる景気回復のおかげで今年は、企業の求人が多くなると思う」(千葉大)
「日頃のニュースを見る限り就職関係でマイナスな報道が少ないので、就職は大丈夫だと思う」(駒澤大)


といった楽観的な学生が多かった。
これに対して「就職環境はきびしい」と景気の現状や世界経済の先行きを懸念する学生もいた。

「日本をとりまく他国の政治的な情勢が不安定で就職に影響しそうに感じる」(西南学院大)
「トランプ氏の大統領就任やイギリスのEU脱退などの影響が採用にも出ると思う」(福岡大)
「景気が昨年よりも良くなっている気がしない」(近畿大)


といった声だ。だが、その数は少なかった。
なかには、景気動向でなく採用活動の早期化や人気企業への集中から就職が厳しくなるとみる学生もいた。

「ほぼ全ての学生がインターンシップに参加しており、企業は応募者の差別化が図りにくいことから案外、厳しい競争になりそうだ」(駒澤大)
「むしろ人気企業に人が集中するため、希望する企業の競争は想像以上に厳しくなりそうだ」(早大)
「日程が変わらなかったことから、企業・学生共に準備しやすかったので、就活を効率的にしないと失敗しかねない」(明治大)


求人ブームという今年の就職活動の特徴かもしれない。このように楽観派、悲観派それぞれだが、全体を見ると「まあまあ何とかなりそうだ」というのが今年の学生の就活ムードだった。

▼ではこれから4月末までの企業説明会、合同説明会で、学生はどのようなことを期待しているのか、更に学生の声から確認してみよう。
もっとも多かったのは、

「若手社員の方に直接話を聞いて、働いている職場の雰囲気を知りたい」(関西大)
「実際に仕事をしてみて、どのような大きな挫折や後悔をしたかをお聞きしたいです」(日本大)
「企業の方との他愛もない話で会社を感じ取りたい」(立命館大)
「会社説明会の会場での若手社員と上司との関係をよく見てみたい」(中大)


このように会社の事業内容や仕事だけでなく企業の社員と実際に話をして、働く現場の雰囲気やリアルな現実を聞いてみたいという声が多かった。なかでも注目したいのは、「若手社員と上司との関係を見てみたい」という視点である。仕事のコミュニケーション、パワハラ、社風を知る手がかりとして観察しようというのだ。
次に多かったのは、社員との個別の意見交換を希望する声だった。よく会社説明会の会場で見られるパネルディスカッションは、あまり評判は良くない。

「社員の話を聞くだけだと疲れてしまう」(高千穂大)
「企業に1対1で質問ができるブースを設けてもらえれば内容のある説明会になると思います」(神戸女子大)


つまり、今の時期は、直接、人事や若手社員と個別に話をしてみたいという。多くの学生は、自分の事情をじっくり会社に聞いてもらいたいという声だ。これは物理的には難しいが、会場に社員を配置してミニコーナーを作ることで対応するしかないだろう。

▼このように選考開始寸前となった現在では、もはや学生たちは、会社の事業内容や仕事理解の説明会ではなく、社員と話をして会社の雰囲気を知る、働く現場の人間関係や本音を知りたいということのようだ。これが現段階の学生たちの不安と期待である。そうなれば、採用担当者としてこれからは、次の点に留意して採用活動を進めていくことが大切だろう。まず、個別学生ごとに就活の相談員ともいえるリクルーターの配置、選考スケジュールの継続的な連絡と面接などのフィードバックの徹底、そして最も重要なことは、採用活動の全体の動きとライバル企業の選考プロセスの分析だ。全体のピークは、4月中旬になるとみられるが、もっと早期になることも予想される。学生たちの動きを見ながら、一斉でなく順次、内定を出せる複線的な選考フォローも必要だろう。

【掲載日:2017/03/10】

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景気によって大きく変動する「採用」の実態を、企業と学校、それぞれの視点でとらえ、一歩先のトレンドをお伝えします。
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キャリアコンサルタント 夏目孝吉

早稲田大学法学部卒業、会社勤務を経て現在キャリアコンサルタント。東京経営短期大学講師、日本経営協会総合研究所講師。著書に「採用実務」(日本実業出版)、「日本のFP」(TAC出版)、「キャリアマネジメント」(DFP)ほか。

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